記憶の中のエロ漫画を特定するまでの経緯の記録です
DLsiteでヴィンテージのアダルトコミックが100円均一のセールが開催されているという。レトロな絵柄を見て25年くらい前に一度だけ見たエロ漫画のことを急に思い出す。当時は「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」と言われるような時代だったので秋田県でもパソコンも学校にしか置いてないしブロードバンドも開通しておらず、携帯電話も3G回線が出たか出ないかの頃で今のようにスマホでマンガを読むようなこともできず、コンテンツといえば主に文字データだけ。そして地元には本屋もアダルトショップもなかった(今もないが……)。車で30分くらいの場所にしょぼいレンタルビデオ屋がありショボいアダルトコーナーがあったが、田舎の噂になりやすさが恐ろしく誰が見ているか分からないので中々入れない。当時の地元の人間にとってホームセンターのレジ近くにある雑誌コーナーが手に入る情報の全てで、せいぜい青年誌か劇画のエロしか手に入らないのだった。そんな状況で誰かが勇敢にも本物のエロ漫画を入手したらしく、体育会系の先輩に「おたくのエロ漫画があるぞ!」と教えられて回し読みに入れてもらいはじめてエロ漫画というものを知る。当時は「こんなエロい本あるんだ……」と驚いた。だがロリコンのマンガを読んでいたら犯罪者になるという当時の批判を恐れて逃げるように返却してしまったのだった。あの時読んだエロ漫画は一体何だったのか。本当にエロかったのか。なんとかして明らかにしたい。
記憶では90年~00年頃のオタクっぽい絵柄で、赤かピンク系の表紙、短編集、ロリコン系だった記憶がある。これではあまりに情報が少ない。絵柄も覚えていないので、00年頃のアニメや漫画を適当に見て記憶を刺激しようと思い立ち「まほろまてぃっく」をちょっと見る。クレジットを見たらガイナックス出身のレジェンド勢ぞろいで凄い。あと「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」の元ネタの「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」も見る。あの頃のパソコンやインターネットを思い出す。
このくらいの時期の作品の描写を見たら急に記憶が蘇ってくる。「パソコンを使って学校では教わらないことを勉強をしている」「学級委員長が学校帰りに不登校児の家に寄ったらナイフで脅されて拘束される」というシーンがあった気がする!Googleで「拘束 不登校 ナイフ パソコン エロ漫画」と画像検索してみるが見当たらない。20~25年くらい前なので追加のキーワードで「2005年」「2004年」などと入れて検索してみると同じシチュエーションの画像が載っているアンテナサイトがヒットした。アンテナサイトのリンク先は著作権的に怪しいサイトで画像が削除されているため内容の確認ができない。しかしマンガのタイトルが載っている。このタイトルでDLsiteの成年向けコミックスのフロアを検索する。あまの・よ~き『天使やってますっ!』という本だった。サンプルにも同じ画像がある。ついに探していた本を見つけたかもしれない。購入して読めばすぐわかるかもしれないが、空振りを続けると出費がかさみそうなので他の方法で検証していく。
発売日を確認すると2010年11月06日となっており20~25年前に読んだ記憶とは日付が合わない。また出版社は「キリブックス」と書かれているのでDLsiteで古い順に検索するが2008年の作品が最古になっている。恐らく2000年初頭はまだ電子書籍が普及しておらず、これは紙の単行本が出てから時間を置いて電子化されたと考えられる。また同一出版社による電子化なら紙版に準拠した発売日になるはずなので、日付のズレは紙版と電子版で出版社が違うために起こっている可能性がある。国会図書館サーチで紙書籍を検索する。書籍はヒットしないが、平成14年(2002年)の三重県の有害図書指定の記録がヒットした。ここから紙版は英知出版から出ていたこと、平成14年(2002年)12月25日に発売されたこと、平成14年(2002年)6月21日に三重県で有害図書として指定されたことが分かった。後から別出版社が電子化したという仮説は恐らく正しい。そして約25年ほど前という記憶と合致している!
しかし発売前に有害図書に指定されているのが奇妙に見える。読まずに有害図書になるとは考えにくいので、これは平成13年(2001年)の間違いではないか?念のためこの書籍をAmazonで検索すると2001年11月1日発売、楽天で検索すると2001年11月21日発売と、発売日がはっきりしない。著者名でGoogle検索するとPixivが見つかり、そこからリンクを辿りFC2WEBの著者ホームページへ行くと書籍情報が見つかる。発売日は2001年12月25日だった。DMM通販で検索しても2001年12月25日と出てくる。発売日も確定し、ようやく約25年前に初めて読んだエロ漫画の正体が明らかになった。購入して確認すると確かに読んだ記憶がある!そしてしっかりエロかった。
余談だが著者のTwitterアカウントを見ると「中西浩司」という別名義でも活躍されているらしい。この名前で検索するとアニメ@Wikiのページがヒットし、『アンダーニンジャ』や『女神のカフェテラス』など直近のアニメで作画監督を務めていたことも分かった。どちらも見た記憶がある。気付かないうちに人生初のエロ漫画の著者の仕事を見ていたのだった。奇妙な縁もあるんだなあ……(終)
今回探し出した漫画もセールになっていました。
DLsiteのヴィンテージのアダルトコミック100円均一のセールでは懐かしい絵柄のアダルトコミックが多数ラインナップされており、いずれも安価に入手できます。みなさんも思い出のエロ漫画を探してみてはいかがでしょうか。