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大のアニメ好きが選ぶ"もっと評価されるべき2025年アニメ" 企画に送った選評全文

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ねとらぼの企画記事に参加して、もっと評価されるべき今年のアニメについて語りました。

今年もこちらの記事にてアンケート投票に参加させていただきました。年末恒例・大ヒット作の影に隠れた本当に面白い作品を掘り起こす企画記事です。
今年はTVアニメは以下5作品、映画は以下1作品に投票しました。

TVアニメ

  • 鬼人幻燈抄
  • うたごえはミルフィーユ
  • ハニーレモンソーダ
  • もめんたりー・リリィ
  • 渡くんの××が崩壊寸前

映画

  • メイク・ア・ガール

鬼人幻燈抄

 全ての話数が「1クールに1話あるかないかくらいの、特別に出来がいい感動の1話完結エピソード」で出来ているのに、それに対する感想があまりにも足りていない。

感想記事を書いた。

うたごえはミルフィーユ

 アカペラの歌唱がテーマの作品だが、「MyGO!!!!!」や「ガルクラ」などの衝突を描くバンドアニメと同じような面白さがある。しかも歌の力でなんとなく共感して解決するのではなく、徹底して議論を重ねて結論を出す。

ハニーレモンソーダ

 6話、11話の大畑清隆演出回のすごさは伝説としてもっと語られていい。

もめんたりー・リリィ

 ポストアポカリプスSF風の作品。オリジナルアニメの中でも奇抜すぎてあまり受け入れられていない印象があるが、キャラクターの死・継承される記憶・全く同じ姿の存在などを通じて人間の条件とは何かを問う骨太さがある。

感想記事を書いた。

渡くんの××が崩壊寸前

 普通のラブコメなら交際がゴールのヒロインレースになるが、この作品では交際は経過にすぎず、心が離れていったり繋ぎ止めようとして性行為に及びそうになったり、依存関係を脱却して新しく関係を結び直すことを考えたり、人生の選択や周囲の社会との協調をいかに進めていくかする真剣に議論を重ねたりする。恋愛1回で人生が決まるわけではないという今までのラブコメへのアンチテーゼ的な態度がいい。FOD限定なのが悔やまれる。2期ED主題歌はちょっと……。

感想記事を書いた。

メイク・ア・ガール

感傷マゾや『母性のディストピア』を連想させる内容だったのでそうした批評でもちきりになるものかと思っていたがそんなことはなかった。年初なだけあり忘れられている感がある。

批評記事を書いた。


以下は投票しようと思って最後まで迷った候補作の一覧

  • 空色ユーティリティ
  • RINGING FATE
  • 誰ソ彼ホテル
  • 一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる
  • Turkey!
  • クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-
  • 無職の英雄
  • 劇場版 プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第4章
  • ヴァージン・パンク

 ここ数年は「評判が良さそうなアニメだけを選んで見る」ではなく「アニメをなるべく選り好みせず、可能な限りすべて放送時に視聴する」「苦手と思った作品でも可能な限り最終回まで見る」というスタイルでアニメを見ています。アニメ自体は多数放送されているにも関わらず特定の作品にのみ評価が集中し、大部分は批評が全く足りていないためです。この状況は視聴者にとっても作品にとっても良くない。それ以来は「面白そうだから見る」ではなく「すでに見ている作品の中から良い部分を見つけ出す」という考え方に変わりつつあります。またアニメを色々と見るようになってから、ド派手なアクション作画だとか崩れない美少女の顔だとかいったわかりやすい評価基準だけでない多面的な評価があるのだということを痛感するようになりました。例えば限られたリソースという制約を逆手に取ったギャグや経済的な演出、1クール目では微妙だった作品が2クール目で今までのエピソードの蓄積が効いて重厚なドラマに化けるパターンなどは「覇権アニメ」ばかりを見ていたら出会えないものです。また一見して予算が少なそうな作品やテンプレみたいななろう原作でも、蓋を開けてみると全く知らなかった面白い作品だったり予想していなかったすごい作画回が登場したりします。しかし結局は放送枠や事前の宣伝、配信プラットフォームの対応状況などで勝敗がほぼ決してしまいあまり顧みられることがない。これほどすごいのに特にSNSでバズったりせず多くの視聴者にはリーチしないまま埋もれかけていくなんて……とショックを受けることもあります。こうした企画を通じてもっと評価されるべき作品が脚光を浴びることで、視聴者も成長し、作品もフェアな評価を受け、世の中が良くなっていくのではないかと信じています。

 

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