今年は同人誌に寄稿したり、しなかったりしました
青春ヘラ ver.6「情緒終末旅行」
大阪大学感傷マゾ研究会の発行する会誌『青春ヘラ』の6号目です。
特集テーマは「情緒終末旅行」
鄙びた温泉旅館でぼーっとするとか、誰も知らない駅で降りて歓楽街を散策するとか、決して志は高くないけれど味わい深い旅行エッセイが収録されています。
また、終末世界と旅行の相性の良さにも焦点を当て、アカリプス・ポストアカリプス作品の特集も収録しております。
『青春ヘラ』にお誘いいただき、「東京への抵抗としての終末旅行について」という文章を寄稿しました。
「メディアは東京を日本の標準的な視点に設定しており、地方は常に東京からの視点で描かれている」という問題点を地方出身者の感覚から指摘、その現状を打破するために地方出身者こそ別の寂れた地方へと旅をして「地方出身者からみた地方」で語り直し、東京中心主義の呪縛を今こそ解くべきだ、といった旨の話をしました。
あるエッセイストが秋田市を訪れて「キレイすぎて物足りない」「雪が積もっていてほしい」「もっと住みにくい街だろという感じであってほしかった」といった旨の感想を述べていたことがあり、出身者の立場からおいコラお前のオモチャで生活やってたんじゃねえぞきりたんぽ鍋の具にするゾという気持ちに
— 人間が大好き (@hito_horobe) April 14, 2021
このことを3年も根に持っていて、ずっと旅行者のオリエンタリズムの目線の是非について悩みながら暮らしていました。今回の寄稿で3年越しに雪辱を晴らせたような気がします。
肝心の本人は今年は全く旅行に行かず、埼玉の西川口、茨城の土浦、千葉の栄町などいかにも東京のヒネた野郎が好きそうな場所ばかり選んで日帰り街歩きをしていましたが……
シン・ゲーミングE計画
「こんなにゲームが出ていたのか、エヴァンゲリオン」
エヴァンゲリオンのゲーム化作品をオタクたちがレビュー・紹介する同人誌シリーズ「ゲーミングE計画」、懲りずに第四弾！
コンシューマーのエヴァゲーは掘りつくしてしまったので、
TCGやアーケードのVRまで紹介！
2023年7月にサービスを終了した『エヴァンゲリオン バトルフィールズ』の記述も、要注目…！？
何かと歴史に埋もれがちなエヴァのゲームを批評する同人誌「ゲーミングE計画」にお声がけいただき、参加しました。
ことし開業の東急歌舞伎町タワーに設置された『エヴァンゲリオンVR 魂の座』をプレイ。ゲームレビューにくわえ、VRゴーグルを被って「トー横」の現実から目を背けるという体験をさせるいびつなアトラクションであることについても批評しています。
「ゲーミングE計画」シリーズはBoothでお求めいただけます！
この同人音声がすごい！2023
【冬コミ新刊】
2023年の同人音声シーンを総特集した『この同人音声がすごい！2023』を、C103の〈日曜東Ｑ37a〉にて頒布します。一之瀬りとさんへのインタビュー、今年を彩った作品ランキングとレビュー、『看取られ音声』に関する論考など、盛りだくさんです。
昨年に引き続き「この同人音声がすごい！」にお誘いいただき、個人的に年間ベストだと思った音声作品のレビューを5点寄稿しました。
同人音声のガイドブックとして優秀なだけでなく、ある時点の年間ベストというスナップショットを作成することで現在のシーンを記録し歴史に遺すという、大変意義ある本だと思います。
同人音声について陰でコソコソやる趣味でも面白変態趣味としてででもなく大真面目に批評できる時代が訪れており、その風潮は本当に素晴らしいことで、可能な限りこうしてレビューを続けていきたいと思います。
奇想同人音声評論誌 空耳２準備号
『空耳２準備号』では前作と同様に音声作品有識者による評論やクリエイターへのインタビュー、また前作同様に変わった音声作品のレビューを掲載します。
また、『空耳２』につきましては年度内発刊を目処に現在鋭意編集しておりますので、続報もお待ちください！
私も参加している「空耳製作委員会」にて、同人音声に関する評論誌「奇想同人音声評論誌 空耳」の第2号を出すということになり準備等に参加していたのですが、仕事や体調不良のため正直ほぼ何も貢献できてません。すみませんでした。
それはそれとして前号「奇想同人音声評論誌 空耳」は興味深い論考が多く収録され、作品レビューに関してもDLsiteのレビュー欄で観るようなフェチズム方面だけではなく文芸方面やメディア論的な視点からも論じており、批評好きのオタクから好評をいただいております。紙版と電子版(DLsite, Booth)がありますのでお好きな方をお求めください！
そのほか
- 漫画家・編集者・評論家・研究者・オタクなどがマンガの年間ベストを持ち寄る企画にお声がけいただき、レビューをいくつか載せてもらいました
その他匿名での寄稿1件、リサーチの手伝い1件、ウェブ記事関係でアニメレビュー計20件くらい書いてました。
今後について
既にいくつか書いています。お楽しみに！
同人誌ではインターネットでは見られない深い論考や、自らの実存を賭けた強い意見に出会うことがあります。自分はSNSで顔色を窺った短文を機敏に吐き出すような臆病者の振舞いばかりしているので、来年も何かしらの同人誌に参加し、まとまった文章を紙にして退路を断ってそうした賭けに出られたら……と思っています