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2025年9月に読んだ本・読んだ漫画・見たアニメ

  • 2025-10-04
  • 2025-10-05
  • 読書
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2025年9月に視聴したコンテンツのまとめです

読んだ本

宇野常寛『遅いインターネット (幻冬舎文庫)』

 インターネットは情報流通の速度を上げたが、世界の分断、排外主義の台頭、ポピュリズムによる民主主義の暴走などの弊害ももたらした。この本ではそれらを解消する方法として「遅いインターネット」を提案する。

 この本ではまず現状のインターネットの特徴を次のように分析する。

  • 話題の転換が早く蓄積することがない。
  • みな考えて発信するのではなく潮目を読む風見鶏的な反応で、ムラ社会的である。
  • リプライ、はてなブックマークなどのコメント機能も後出しじゃんけんや揚げ足取りとして機能しており、やはり自力で考えることに向かない。

 ここでなぜ「遅いインターネット」を提案するのか。週刊誌や新聞などは話題が切り変わる期間が1日、1週間と決まっており媒体側がペースを握っているが、インターネットは情報に接する速度を自分で選べる。「情報に接する速度を自分で選べる」という部分がこそインターネットの本質なのである。ゆえに世間の速度に流されずに、自分のペースで情報に接して十分に理解するまでしっかり読むようにするという「遅いインターネット」が有効であるとしている。具体的な方法としては「Google検索の引っかかりやすいところに5年、10年と読まれる良質な読み物を置いておく」などを挙げている。また良い読みものを作っても棍棒として消費されかねないので、連帯して読み書きや思考のリテラシーを育てるコミュニティを作っていくべきとしている。

 かなり妥当な主張なように思う。一方でAIが登場してからコンテンツの生成速度が飛躍的に向上し、デマや煽動などが勢いづいて現実にまで影響を及ぼしつつある「速いインターネット」に対して、「遅いインターネット」を志向してリテラシーを高めるという手段だけでは勢いで全く勝てないのではないか。遅いインターネットある種の人間だけが引きこもって生き残る戦略にしかならないのではないかと思った。

 以下はこの本を読んだ日の日記。

高田里惠子『グロテスクな教養 (ちくま新書)』

 インターネットで本当の教養人の地位を巡ってしょうもないレスバトルを繰り広げている人々にうんざりし、「教養主義」受容への批判のために読んだ。教養=自分自身で自分自身を作り上げるという思想はそもそも誕生からしてブルジョワ男子の特権であり(女子には自分自身を作り上げる権利がなかった)、教養主義は自らの階級の差別化をはかるものとして使われてきた経緯がある。この本では日本の「教養主義」受容の歴史はエリートを自認する旧制男子校と共に発達し、いかにいびつな特権意識であったかが嫌というほどに示される。そしてこのいびつさが、形を変えて現在のエリートまで連綿と受け継がれていることがわかる。

 この本を読んで、インターネットの「冷笑界隈」を批判する日記を書いた。

印度カリー子『ひとりぶんのビリヤニ』

よくあるビリヤニのレシピでは大量に出来上がってしまうが、この本ではちょうどよい量だけができる。実際に試してみた。

田中正人・香月孝史『社会学用語図鑑』

「近代において人間は基本的に自由」の挿絵で有名な本。他にも色々な愉快なキャラクターが登場して楽しい。社会学の様々な用語や概念が絵付きで簡潔にまとめられており「あの考え方にはこんな名前がついていたのか」「この用語ってこういう意味だったのか」「よく聞くこの学者はこういうことを言っていたのか」と次々と理解できる。提唱した学者の名前と原著も示されているので、この概念を深く知るには何を勉強したら良いのかを逆引きできる辞書としても機能しており、独学者には本当にありがたい。

ノルベルト・エリアス/エリック・ダニング『スポーツと文明化:興奮の探求』

「人類史の大部分では利害調整の手段として暴力が用いられ、周期的に暴力がやり返されてきたたが、次第に暴力が野蛮とみなされるようになり議会政治などの非暴力的な利害調整の手段が発達した」「人間はセックス以外の楽しい興奮を求めており、そのひとつとして"戦いの興奮"を求めている」「暴力が野蛮なものとみなされるようになっていった一方で、スポーツは想像上の状況で楽しく安全に"戦いの興奮"を提供するものとして求められた」というのが、この本の大まかな主張である。スポーツは暴力から議会政治へと変わるの歴史のなかで副次的に生じたものともいえる。

これをもとにアニメ『Turkey!』の感想文を書いた。


読んだ漫画

生倉のゑる, はるばーど屋『ダウナー系お姉さんに毎日カスの嘘を流し込まれる話』2巻

 たびたびネットで話題になる「カスの嘘」の漫画版2巻。お姉さんが次々とそれっぽい嘘をついて少年を翻弄するという内容だが、実は教育マンガではないかと思った。

雨森たきび, いみぎむる, いたち『負けヒロインが多すぎる!@COMIC』

文芸部で小鞠が登場するシーン、アニメではカットされたグレッグ・イーガンへの言及がある。宇佐見りんの名前も出てくる。原作執筆時期の2021年頃っぽい。

学研ムック スペース☆ダンディ オフィシャルファンブック

ピンポン コンプリートアートワークス


読んだ雑誌

  • まんがタイムきらら 2025年10月号
  • まんがタイムきららMAX 2025年11月号
  • まんがタイムきららフォワード 2025年11月号
  • まんがタイムきららキャラット 2025年11月号
  • アニメディア2025年10月号
  • アニメージュ2025年10月号
  • コミック電撃だいおうじ 2025年11月号

観たアニメ

2025年夏のアニメは完走53本、継続8本、積み残し9本だった。

最終回まで見た

2025年10月以降に継続

ウェブで継続

  • 週刊ラノベアニメ
    • Jack the Reaper
    • 傷心タイムリープ
    • ファムファタル育成計画
    • マリー・アントワネットに転生したので全力でギロチンを回避します

途中まで見た

未視聴

映像面で素晴らしいアニメが数多くあったが、ストーリーでは『鬼人幻燈抄』がベストだった。

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